作品集
『全作品集』第1巻
(1929年/23.5×29.0×1.8cm)
ル・コルビュジエが出版した著書の中で、代表作といえるのは、自選作品集である『全作品(Œuvre Complete)』でしょう。全8巻からなるこの作品集は、ル・コルビュジエ本人が写真を選び、コメントを執筆したもので、とくに第1巻はレイアウトも全て自身で手掛けています(第8巻は本人の没後の編集・出版)。
基本的に年代順に作品は紹介されていますが、スイス時代のいわゆる修業時代の作品は取り上げられず、建築家ル・コルビュジエはパリに出てからスタートしたことになっています。このように、どの作品も同等に扱われているわけではなく、実現しても軽い扱いのものから、計画で終わったのにかなりのページを割いているものまで、作品の取扱い方には大きな違いがあるため、彼がどの作品に力を注ぎ、どこに重点を置いてデザインし、何を見せようと考えていたのか、この作品集を見ると彼の個々の建築作品に対する考え方が浮かび上がり、彼の建築を理解するうえで非常に重要な書籍です。
また、絵画や彫刻といった美術作品も紹介していることからは、自身の建築以外の活動にも注目してほしいという意図がうかがえます。
ル・コルビュジエが数多く手がけた建築作品やスケッチ、絵画作品の作品集は多々出版されています。
多くは、ル・コルビュジエの没後、ル・コルビュジエをよく知る編集者や研究者によってまとめられていますが、多岐にわたった彼の活動全般については、ル・コルビュジエ自選の『全作品集』全8巻が最も重要な資料といえるでしょう。
建築作品に限れば、ル・コルビュジエ財団が所蔵する全図面を収録した『図面集』全32巻、それらを新規に撮影し直し、デジタルデータでのアーカイブとした『Le Corbusier PLANS』(DVD版、オンライン版)によって、全貌をつかむことができます。
美術作品関連では、油彩作品、タピスリー作品、彫刻作品についてレゾネが出版されている他、ル・コルビュジエが携帯していた手帳の中身を収録した『Sketchbooks』全4巻が出版されています。