チャンディガールの作品

チャンディガール 高等裁判所

ル・コルビュジエがチャンディガールで行ったこと、それは近代建築もこれほど見事に記念碑性を表現できると証明したことではないでしょうか。パンジャブ州(インド北西部)の州都チャンディガールの建設を依頼されたル・コルビュジエは、ヒマラヤを望む何もない広い大地にモデュロールを利用した碁盤の目状のグリッドを刻む街を作り出しました。

彼は街全体をプロデュースしましたが、主に力を注いだのは、キャピトル部分の個々の建築の建設でした。

《高等裁判所》《合同庁舎》《州議会議事堂》という3棟の公共建築は、打ち放しコンクリートによる重厚で迫力のある作品で、後期のル・コルビュジエの特徴をよく表しています。また、インドの気候を考慮した軒の深い日除けや、風が吹き抜ける大きな開口部などが、ファサードの表情を作っています。

キャピトルには《総督公邸》も建てられる予定でしたが、実現にはいたりませんでした。ほかに、チャンディガールのシンボルである「開いた手」のモニュメントや《影の塔》が建てられています。

また、人造湖であるスクナ湖の湖畔には《ボートハウス》を、さらに《建築学校》《美術学校》の校舎、チャンディガール市立の《美術館》を建てています。さらに、離れたところでは《バクラ・ダム》を建て、これはインドの切手の図柄にもなっています。

インドでの諸作品のコンクリートはとくに傷みが激しいですが、それは、インドの気候風土に因るところが大きいです。しかし、ル・コルビュジエは、それらの汚れ、傷みをも、建築の経年変化による表情の変化とし、あたかも石造の建造物が年とともに古色を帯びるのと同じように捉えていました。