1920年代の建築

レマン湖の小さな家

1920年代にル・コルビュジエが手がけた建築物は、四角い箱のような単純なフォルムをしてます。彼は「住宅は住むための機械である」と語りますが、これは新しい技術を取り入れた合理的で機能的な住まいという意味に加えて、機械の美学―無駄をそぎ落とした機械のような艶やかさや幾何学的な美しいフォルムーをも意味していたと言ってよいでしょう。

1920年代初頭にル・コルビュジエが手掛けたのは、小さな住宅がほとんどです。なかでも《レマン湖の小さな家》は、両親のために建てた60㎡ほどのこじんまりとした住宅ながら、前面に広がるレマン湖の景色を、あたかも湖上に浮かんだ船から眺めるように、横長の連続窓によって景色を室内に取り込むことに成功しています。また、折り畳みや可動式の家具を用いて、コンパクトながら使い勝手の良い空間を作りだしています。

《レージュの住宅》と《ペサックの住宅》の施主アンリ・フュルジェス氏は、ル・コルビュジエの建築への提言に魅せられた実業家で、彼の依頼によってル・コルビュジエは2か所で合わせて60棟を越える住宅を建設しました。