企画展:「ル・コルビュジエの絵画 スイス時代から1920年代後半まで」


公開期間:2022年4月~2022年8月
紹介する作品:ル・コルビュジエによる絵画作品など22点
開催趣旨:
 シャルル・エドゥアール・ジャンヌレ(ル・コルビュジエの本名)は、画家になりたいと思っていましたが、美術学校の先生に建築家になることを勧められ、建築の道を進むことになります。地元の建築家の協力を得て住宅を手掛けた後、独学で建築を学び、各地の建築家のアトリエで修業するうち、パリを活動の拠点とすべく、故郷スイスを飛び出す決心をします。
1917年にパリに出たシャルル・エドゥアールは、翌年画家アメデ・オザンファンと出会うことで、新しい世界が開け、建築家として活躍する前に、画家として活動を展開することになります。オザンファンとともにピュリスムを提唱し、二人展を開催し、『キュビスム以降』を出版し、雑誌『レスプリ・ヌーヴォー』を発行していきます。
 彼らが提唱したピュリスムは、対象を純粋な幾何学的形態として表現しますが、その対象となったのは、簡素なコップやボトル、楽器や本など、合理的で普遍的な美しさをもつものでした。また、新しい時代を象徴する美として、機械や車、飛行機、船などを称賛しました。
 1920年頃までは二人の画風は非常に似通っていましたが、徐々に違いが現れていきます。シャルル・エドゥアールの画面にはオブジェの数が増え、平面が重ねられて奥行きが作られ、個々のオブジェが輪郭を共有して、リズミカルにつながっていきました。
 いくつかの原因が重なり、二人は1925年をもって協働を止めます。その後、ピュリスムの枠を外したシャルル・エドゥアールの画風はさらに変化し始めます。個々のオブジェが主張し、フォルムは膨らみ、繊細さよりも力強さが感じられるようになっていきます。
 今回のバーチャル・ギャラリーでの展示では、故郷で描いていた水彩画から、ピュリスムを卒業した1920年代後半までの作品をご紹介いたします。年とともに少しずつ変化していくシャルル・エドゥアールの絵画をご覧ください。展示している作品はル・コルビュジエ財団所蔵作品と大成建設所蔵作品です。
 なお、国立西洋美術館で現在開催中の「調和にむかって ル・コルビュジエ芸術の第二次マシン・エイジ」展と合わせてご覧いただくと、ル・コルビュジエの生涯にわたる作風の変化がご理解いただけます。